2011年4月10日日曜日

情報をあっさりデマということの危険性

震災後のデマ80件を分類整理して見えてきたパニック心理 を読んでみて、デマを見抜くことも大事なんだけど、デマの中でも一部の事実と嘘の両方が混じっている場合があり、それらを全てデマと見做とそれはそれで問題だろうと思ったので、以下について言及。

「いわき市田人で食料も水も来ていなく餓死寸前」はデマ。いわき市議が否定。14日から給水も始まっていた。


いわき市はマルトとヨークベニマルというスーパーが食料品を買う代表的な店なのだが、ヨーク系列は17日の段階で供給が滞り、営業自体が厳しい状態が続いており、食料品を買うなら他のお店に行った方が良いと、ヨークに勤める友人がメールして来ていた。

基本メインのスーパー系列の1つで供給が無く営業すらもしていないのだから、品不足はかなり固い。

で、次に田人の位置関係だが、いわき市の西、山の中である。ぶっちゃけ何もない辺鄙な場所。よって食料品を買うためには車を使うのが当然なのだが、食料に続いてガソリンの供給がない。で、行った先でも食料品が供給不足なので人によっては何箇所も巡って食料品を確保しようとするわけで、いつも以上に車での移動距離が増える。そうこうしているうちに動けなくなるし、それ以前にガス欠になっているご家庭では、そもそも食料品があるかもしれない場所に行く手段がないのである。

で、14日から給水も始まっていたと言うが水道は止まったままである。水を得るためには給水場まで行かなければならない。問題は、人によっては給水場までの距離が遠過ぎるのである。車で移動すれば良いが上記に書いたようにガソリンが無い。全員が全員困る状況ではないが、中には「食料も水も来ていなく餓死寸前」というのはあながち嘘でもなんでもなく、今そこにある事実だったことには変りない人が含まれる状況だったのである。

それを仮に「デマ」と切り捨てられ、生活物資の供給が後回しにされたらどうなるか?と考えると、あまり良い気分にはならないだろう。

なので、デマとされる情報の中に無視してはいけない情報が紛れている場合には、それを一括りに切って捨てるのではなく、大事なところは補足しなければならないだろう。ぶっちゃけ食料品の供給も暫く滞り、水道も出てはいなかったのだから、

「いわき市田人で食料も水も来ていなく餓死寸前」はデマ。いわき市議が否定。14日から給水も始まっていた。


の場合、発言者当人にとっては紛れもない事実だった可能性は非常に高いのだが、これをデマで切り捨て何もしないでいたら、本当に死人が出るレベルだと思われ。まあ、10日程度食わんでも死にはしないだろうけど。そんなこんなで、


「〜はデマ」

という表現による全否定の危険性については突っ込んでおきたい。誰かを殺す前にね。

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