Apple Watchについてはソフトウェアを綺麗なハードで包んだ以上の進化があるように思う。Appleのデザインを司っていたSteveとJonyはそれぞれ以下のように述べている。
Steve Jobs:「iPodは実はソフトウェアだ。外見は優れたハードだが、中身は優秀なソフトウェアだ。」
Jony:「Apple Watchはハードとソフトウェアの境界が判別出来ない程、完全に一体化した製品を目指し、設計され、造られた。」
AppleがApple Watchで成し遂げた進化はこういうことなんだろう。
よくよく考えると冷蔵庫とか洗濯機をはじめとする家電製品も、中でソフトウェアが動いているのは同様で、実生活においてもハードとソフトの境界なんざ気にせずに生活をしている。電子レンジでお好みの調理方法を選べば、あとはそれに対応した温め方をしてくれるし、洗濯機でもデリケートな選択方法を選べば、生地が傷みにくい洗い方をしてくれるのが分かりやすい。
ここでAppleの製品とその他の製品との区別となるのは、ボタンを除いて、ユーザが操作する場所の100%がソフトウェアってところだろう。そして時として、そのボタンのような物理的な存在にソフトウェアが介入することだろう。
腕時計は時計の針や針を動かす中の歯車が物質として存在しているが、Apple Watchではそれらは全てソフトウェアだ。文字盤を自由に変えることもできれば、物理的な文字盤では実現が難しいであろう、ミッキーマウスの腕を回して時刻を表示させるようなものも出来る。でも、時計のバンドや外のケース、クラウン(竜頭)等の外側の部分は当然ハードウェアであり、一般の腕時計との区別は然程ないように思える。
だが、クラウン(竜頭)はデジタル化されており、例えば画面のスクロールがそれ以上進まない状態まで来るとソフトウェアがクラウンに抵抗を与え、クラウンを回す指に重みが感じるようになる。これは極めて物理的な作用であるが、中身はソフトウェアである。
また、画面を軽くタップすることと、強く押し込むことで違う動作として認識され、出来る操作が変わる。時計の液晶は物理的には押し込むことが出来ないが、ソフトウェアでは押し込みを認識し、タッチと強い押し込みに物理的な違いを与えている。しかも、押し込んだのを指が感じられるように擬似的な振動を作り出す。この振動をコントロールするのはソフトウェアだ。
「ハードとソフトウェアの境界が区別出来ない程、完全に一体化した製品」と言われてピンと来ないかもしれないが、実際のApple Watchがしていることは、触ると本当にハードとソフトウェアの境界が区別出来ない製品として完成されているのである。
ここにiPod時代から更に進化したAppleの凄みが出ている。
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