2007年7月13日金曜日

水不足

世界は現在水不足に直面しております。日本は全然水不足を実感することはありませんが、実際のところは日本も水不足です。むしろ赤字です。というのも、日本は多くの食料を輸入しているため、本来必要とされる水を使わずに食料を手に入れているのです。

農作物を育てるのには多くの水が必要とされます。ですので、農作物自体、大量の水の消費の上に成り立つ商品なのです。そして、その農作物を食べて育った家畜は、さらに多くの水を必要とします。何故なら、人間が食べれば1週間以上もつ量の穀物を家畜は1日で平らげてしまうからです。その穀物は多くの水によって作られます。日本は外国産牛肉や豚肉を、これまた数多く輸入しております。これらを自国で賄おうとした場合、明らかに赤字となります。日本は自給自足の出来ない国なのです。

さて、広大な川が流れるお隣の大国:中国ですが、こちらも現在深刻な水不足に悩まされています。原因は水質汚染と工業用水の増加。実際、Newsweekの記事によれば、世界で3番目に長いとされる河:長江(揚子江)の汚染は凄まじく、2011年までには水生生物が住めない河になりかねないという見通しが出され、世界自然保護基金(WWF)と中国の政府機関が共同で「長江の生態系はほぼ回復不能なダメージを受けている」と発表しています。
中国北部を流れる黄河は過剰に工業用水等に取水され、干ばつも重なり、海に流れる前に干上がってしまう状態になっております。
水質汚染も過大なものになっており、広東省の人口3000人の村では、3人に2人が癌になっております。これは作物を育てるのに汚染された水を使わざるを得ない状況だからです。水を使わなければ作物は育たず、作物が育たなければ飢え死にしてしまいます。黙って飢え死にするわけにも行かず、汚染しているのは承知の上で作物を育て、それを食べ、癌にかかっているようです。

野村アセットマネッジメントでは2004年頃からこうした水汚染に目を向け、水関連企業の株および空気関連企業の株に投資する投資信託:ワールド・ウォーター・ファンドを作り、3年間で90%、つまり年利30%程の安定リターンを提供しております。これは中々面白い試みです。

さて、中国は大豆を始めとして多くの農作物を日本へ輸出しておりますが、こうした工業化に伴う汚染と水不足で、どんどんと生産可能な農産物が減少している状態です。これに伴い、全世界での供給される農作物の全体量は減る一方となっております。その反面、砂糖やトウモロコシから作られるバイオエタノールといった新しいエネルギーが注目され、農産物の消費量は増える一方となっております。

自分の中では水不足よりも農産物不足の方がより深刻で世界的に重く見られる傾向にあると思えます。何故なら、日本にいる限り水のことに関して無関心ですが、スーパーに野菜を買いに行って値段が上がっているのは、主婦的にびっくりする内容だろうと想像に難くないからです。そして、こうした多くの人の感情に訴えかけるパニック要素こそが、投資の旨味を引き出す存在となります。

なので、そんな未来を見越して投資を行うには、この農産物全体に投資する投資信託をお勧めしたいと思います。


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