2007年8月30日木曜日

地震保険について考える

新潟の地震の被害を元に地震保険の価値を検証。

まず、被害額。

【中越沖地震】新潟県が被害額を1.5兆円と見込む、建築物は2000億円


建物の損失額は2000億円。

で、地震保険の損保会社の保険料支払い額は、

社団法人 日本損害保険協会(会長 江頭 敏明)では、7月16日に発生した新潟県中越沖地震に係る地震保険金支払見込額(18社合計)を取りまとめた結果、下表のとおり約64.8億円となりましたので、お知らせします(7月31日現在)。
損害保険業界では、引き続き皆様からのお問い合わせ、ご相談等に親身にお応えするとともに、保険金の迅速なお支払いに全力で努めてまいります。 
尚、損保協会では、このたびの地震災害につきまして、「地震保険対策本部」を設置するとともに、新潟県新潟市に「現地対策本部」、柏崎市に「地震保険相談窓口」を開設するなど、万全の体制で対応にあたっています。

上記のことから、2000億円の被害に対して、64.8億円しか出ないこととなる。

例えば、あなたが新築で家を建てて、地震が恐いので地震保険に入ることにする。火災保険の特約としてしかつけられない保険であると説明を受け、火災保険に入り、そこへ地震保険をつけることとなる。銀行などで住宅ローンを組む時に保険をセットで勧められる場合が多いという。その時によく勧められるのが「長期割引住宅総合保険」。これは掛金は割引となり安いが保障は低く、住宅ローンと同じ30〜35年間に渡って支払い続けるもの。しかし、地震保険は5年以下の火災保険にしか付けられないため、これに入るメリットは無い。なので却下。加えて、35年にも渡って家の火災を補償するのは馬鹿げている。

さて、5年以下の火災保険にしか地震保険の特約が付けられないと説明を受けて、普通の人は「じゃあ、「長期割引住宅総合保険」を解約して新しく火災保険に入り直して地震保険を付けよう」とでも思うのだろうか?保障が必要と思うなら切り替えもありだが、それで一番儲かるのは保険会社だ。

そもそも、2000億円の被害で約65億円しか出ないのである。本来の価値の3.25%しか補償されないのだ。単純に考えて、

2000万円出して家を買い、次の日に大地震で崩壊しました。

地震保険に入っていたため65万円が貰えました。

という話を聞かされているのだ。こんなの保険とは言えない。65万円なんて、頑張れば1年以内に貯金出来る金額だろう。補償率が3.25%なんて、住宅ローンの固定金利と一緒なのだから、尚更だ。いったい、何のために高い保険料を保険会社に払うのだ?いざって時に役に立たない商品に金を出す必要なんてない。

日本損害保険協会は最近「地震保険に入る人が増えている」といったCMを出しているが、お前等よっぽど腹黒いのか?と勘ぐってしまう。

ちなみに東京で大地震が起きた場合、国ですら賄いきれない損害額が発生するといわれているため、そもそも地震保険が機能する環境など始めからないのだ。保険会社が払いきれる金額以上に損失が発生した場合、保険会社はそれ以上払う必要は無いと法律によって保護されている。まあ、そんな法律で保険会社を守ってもらっても、困るのは消費者なのだが。

市場に強い支配力を持つ消費者としては、絵に書いた餅に金を支払うべきではない。甘い汁を吸いたがるフザケタ企業が増えるだけだから。

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