単純に原材料が上昇すれば、日頃の生活にかかるお金も増えるので、支出増となります。手元に残るお金が減るとあっては、サラリーマン大増税!と声高々に言われる中、貯蓄することはさらに難しくなります。
一年前くらいから友人達へ「定率減税廃止とか住民税率UPで払う税金が増えるのだから、早い段階から色々な支出を減らしていかないといけないよ。特に携帯電話の使用料とか電気代とか保険料とか毎月定期的に出て行くお金には目を光らせた方が良い。」とアドバイスして来ましたが、ここへきてさらなる追い打ちが原材料の高騰です。ガソリンや鉄などの資源だけでなく、マヨネーズやカップラーメンやら、日頃の食料品までその影響力は及んで来ています。また、穀物の価格も上昇しているので、畜産農家への負担は大きく、来年から牛乳や鶏卵を始めとする食料品の価格が上昇します。小麦の先物取引価格は既に投資するには高過ぎる値段で取引されているという意見も出ています。
こうした中、何が起こるかというと収入源の支出増が起きるわけです。何故収入も減るの?という疑問はあるでしょう。原材料の値段が上がれば、企業にとってどんな負担になるか?を考えればそれは明らかです。
一つの例を考えてみます。あるコーンフレークを製造している会社があります。コーンの価格が高騰しているので、製品の価格も上げたいのですが、市場には競合他社がいます。他社が値段を買えないうちに自分が値段を上げてしまうと、当然買いもの上手の主婦達が、そちらの商品を買い出すようになります。そうすると売上が減るので、原材料も高いのに収入も減るのでは泣きっ面に蜂です。なので、おいそれと値段を上げることは出来ません。するとコスト削減でカバーしようという話になりますが、下手すると従業員の給料を減らそうとします。多くの食料品会社では数多くの従業員を雇っていますから、その多くの人々の給料が減らされるということは、転じて消費者の財布の中身が減ることを意味しています。これは鉄の高騰によって影響を受ける鉄鋼会社、自動車メーカーや建設関係の企業においても同様のことが起きますし、食料品に限った話ではないのです。そして、多くの人々の収入が減ることとなります。しかし、市場の価格は上がるのです。収入減の支出増となります。
このような状況で儲かるのは原材料を持っている会社となります。例えば石油。昨日石油を1L汲み上げる価格と今日石油を汲み上げる価格はそれほど変わりません。にもかかわらず、数ヶ月前1バレル$60でしか売れなかったのに、今日は$83で売れるのです。何もしていないのに$23も儲けが増えるのですから、こんな美味しい話はありません。なので、タイミングさえ外さなければ、こうした原材料への投資はとても旨味があります。しかも、株と違い分かりやすいのです。ガソリンスタンドで価格の低い場所を探すのと似ています。商品市場というのは、高いか安いかで判断しやすいのです。スーパーで安い野菜や肉を選ぶのが当然な主婦の皆様には簡単に理解出来る話です。リンゴ1個100円と150円で、中身が一緒だったら、どちらを買いますか?という話です。
逆に、製品加工業の企業は苦戦を強いられるので、今後数年は大変なことでしょう。商品市場の価格が上がる時、株式市場全体の値が下がる関係にあるのは分かりやすい事実なのです。
まあ、そんなこんなで原材料が高騰している昨今、一般の人々の収入は減り、日々の支出は増えるという最悪な環境が築き上げられているわけです。しかも、これはまだ始まったばかり。中国とインド、あわせて24億人の人々が日本や欧米並みの消費を始めるところです。今まで貧しい農村のような自給自足の暮らしが、ある日、大量消費社会へと変貌を遂げるのですから、その影響力はとても大きいのです。考えても見て下さい、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本の人口の合計は約8〜9億人です。中国だけで13億人なのですから、もう大変なことになることぐらい想像つくでしょう。
なので、アリとキリギリスの話ではないですが、貯めれる時に貯めることをお勧めします。貯めれる時ってのは今です。
「なんとかなる」って言う人と「備えあれば憂い無し」と言う人、どちらが賢いと思うでしょうか?
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