2007年4月29日日曜日

先送りの魅力

国が現状の問題を先送りしすぎて、どうにも解決が困難になったり、サラ金から金を借り続けて、どうにも返済が困難になったりするのは、それら現状の問題を常に先送りにすることから生じるものです。そしてこの先送りというのは、現在の状態をとんでもない速度で増やすのに(良くも悪くも)最適な方法であるといえます。

ハーバード大学で子供を対象にある実験を行いました。個室の真ん中にテーブルを置き、その上にあめ玉を一つ置いておきます。子供を中に入れ、試験官が「今からちょっと出かけてくるけど、テーブルの上にあめ玉を置いておくね。僕が戻ってくるまで食べずにいたら、あめ玉をもう一つあげるけど、これを食べてしまったら、君は一つしか食べれない。」といって外に出て行きます。残された子供はすぐに食べてしまう子もいますが、我慢しようと思って壁の方を向いてあめ玉を忘れようとしたり、床の上に転がってもだえたりする子もいます。まあ、最終的には時間をいくらでもかけると子供はついに諦めてあめ玉を食べてしまうのですが、このあめ玉を食べるのを長く我慢出来る子は、その後社会に出た後に、より高給取りで、自分の資産を多く増やせる人間に育つという実験結果になりました。

借金や問題というのは先送りにすると増え続けます。そしてこれは個人の資産や幸福に対しても同じことが言えるのです。今の贅沢にお金を使ってしまえば、そこで終わりです。何も増えません。それを将来へ先送り先送りしていくことで爆発的にお金は増え、それと共に今の諦めたしあわせも加速度的に増えていきます。アインシュタインは「この世で一番強い力は、複利だ」という言葉を残しています。この最も優れた物理学者の一人とされる天才を唸らせたのは、お金を凄まじい加速度で増やす複利の力でした。そしてこれは資産を頑張って貯めようと努力する人達にいつでも微笑みかける準備をしているのです。

将来の自由を手に入れるのは、今の自由を少し犠牲にする心がけです。全ての結果には代償がつきものです。何も支払わずに得られるものなど存在しません。楽してお金持ちになろうとか、楽していい仕事に就こうなんて考えでは、自分の望みなど手に入らないでしょう。何かを望むなら、それと引き換えに何かを提供しなければならないのです。今、何かを少し犠牲にすれば、将来それは増えて戻って来ます。しかし、今それをしなければ、将来はそのしなかった故の結果が増えて戻ってくるのです。

明日の結果を作り出すのは現在の行動です。あなたがもし現状に何らかの不満を持つなら、それは過去の自分が選択した行動によるものです。今、お金がない人は過去にお金を増やす選択をしなかったのが原因ですし、今、人間関係に不満があるとすれば、それは過去の自分がそれを築き上げる努力を怠ったせいでもあります。良い大学に入りたければ、早い段階から勉強すれば受験シーズンになって狂ったように勉強せずとも楽に入れるのです。先送りの不思議な効果は、自分の得になるように利用しようと思えば思う程、その力を爆発させて利用出来るようになります。

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